家庭内LANとインターネットWANの接続構造をイメージした図解とルーター機器

インターネット接続の基本:WANとLANの違いと活用法

WANとLANの基本概念

スマートフォンでYouTubeを見る時、家のWi-Fiに繋がっている場合と4G/5Gで見る場合があります。実は、WAN(Wide Area Network)LAN(Local Area Network)という2つの異なるネットワークを使い分けているのです。

例えば、ドコモ・au・ソフトバンクの携帯電波はWANの一種で、全国の基地局を通じて遠く離れたサーバーと通信します。一方、自宅のWi-FiはLANで、家の中のルーターを中心とした小さなネットワークです。普段何気なく使っているこれらの接続方法には、実は大きな技術的違いがあります。

ネットワーク規模の分類

PAN(Personal Area Network)

AirPodsとiPhoneをBluetoothで繋ぐような個人レベルの接続

LAN(Local Area Network)

家のWi-Fi、オフィス内のネットワーク、カフェの無料Wi-Fi

WAN(Wide Area Network)

ドコモ・au・ソフトバンクの4G/5G回線、光ファイバー回線

WAN(Wide Area Network)の詳細

普段スマホで使っているドコモ・au・ソフトバンクの4G/5G回線がWANの代表例です。これらの携帯キャリアは、全国に設置された数万もの基地局を通じて、私たちのスマホを遠く離れたYouTubeやInstagramのサーバーに接続しています。

例えば、渋谷でスマホからTwitterを見ている時、実際のデータは東京都内の基地局→キャリアの中継設備→アメリカのTwitterサーバーという経路を辿ります。この時、5Gなら最大数Gbps、4Gでも数百Mbpsの速度が出ますが、実際の体感速度は混雑状況や電波状況に大きく左右されます。

WAN技術の進化

  • 1990年代
    ダイヤルアップ接続とISDN。携帯電話はまだ通話のみ
  • 2000年代
    ADSL光ファイバー普及。3G携帯でメール・簡単なサイト閲覧
  • 2010年代
    4G/LTE本格普及。スマホでYouTube・SNSが快適に
  • 2020年代
    5G開始、Wi-Fi 6普及。4K動画・ゲームが遅延なし

LAN(Local Area Network)の詳細

家のWi-Fiルーターから作られるネットワークがLANの典型例です。スマホ、パソコン、テレビ、ゲーム機など、家中のデバイスが同じWi-Fiルーターに接続されて、お互いに高速でデータをやり取りできます。

例えば、スマホで撮った写真をPCに送る時リビングのテレビでスマホの動画を再生する時は、インターネットを経由せず家のLAN内だけで完結します。そのため、Wi-Fi 6なら最大9.6Gbpsという超高速通信が可能で、ほぼ遅延なしでデータ転送できます。

家庭でよく使う有線LAN

  • ゲーム機(PS5、Switch)の有線接続
  • デスクトップPCのLANケーブル
  • スマートTVの有線接続
  • NAS(ネット対応HDD)への接続

身近な無線LAN(Wi-Fi)

  • スマホ・タブレットのWi-Fi
  • ノートPCの無線接続
  • スマート家電(エアコン等)
  • Amazon Echo、Google Nest

WANとLANの主要な違い

一番分かりやすい違いは、「誰が管理しているか」です。家のWi-Fi(LAN)は自分で管理できますが、ドコモやauの4G/5G回線(WAN)は携帯キャリアが管理しているため、速度や品質をコントロールできません。

具体例で理解: スマホで同じYouTube動画を見る場合、家のWi-Fiなら安定して高画質で見られますが、電車内の4G回線では混雑時に画質が落ちることがあります。これがWANとLANの根本的な違いです。

技術的相違点の詳細比較

通信速度

家のWi-Fi:実測100Mbps-1Gbps
携帯回線:実測10Mbps-200Mbps

応答速度

家のWi-Fi:1-5ms(超快適)
携帯回線:20-100ms(普通)

利用料金

家のWi-Fi:月5,000円程度
携帯回線:月7,000円程度

データ制限

家のWi-Fi:基本無制限
携帯回線:月20GB等の制限あり

使用される通信プロトコルの違い

普段何気なく使っているネットワークには、実は異なる通信方式が使われています。家のWi-Fiルーターとスマホのやり取りでは、同じ家の中なので暗号化されたWi-Fi信号で直接通信します。

一方、4G/5Gでインスタを見る時は、スマホ→基地局→インターネット→Instagramサーバーという長い経路を辿ります。この時、各区間で異なる通信プロトコルが使われ、データの安全性と効率性を両立させています。

LAN主要プロトコル

  • Ethernet(IEEE 802.3)
  • Wi-Fi(IEEE 802.11)
  • STP(Spanning Tree Protocol)
  • VLAN(Virtual LAN)

WAN主要プロトコル

  • PPP(Point-to-Point Protocol)
  • MPLS(Multi-Protocol Label Switching)
  • Frame Relay
  • BGP(Border Gateway Protocol)

セキュリティ面での考慮点

家のWi-FiのセキュリティはWPA3パスワードで守られており、家族以外は基本的にアクセスできません。しかし、4G/5G回線は電波なので盗聴リスクがあるため、基本的なネットのwebサイトやアプリではすべて暗号化通信(HTTPS)を使っています。

特にフリーWi-Fi(コンビニ・カフェ・空港等)を使う時は注意が必要です。これらもLANの一種ですが、不特定多数が利用するため、個人情報を入力するサイトは避けるか、VPNアプリの使用をお勧めします。

セキュリティの実践ポイント: 家のWi-Fiパスワードは定期的に変更し、フリーWi-Fiでは重要な操作を避けるスマホの自動Wi-Fi接続機能はオフにして、知らない間に危険なWi-Fiに繋がることを防ぎましょう。

実際の設定と構築方法

新居への引っ越しでネット環境を整える時を例に考えてみましょう。まず光回線(WAN)の申し込みをして、NTT・KDDI・ソニーネットワーク等のプロバイダを選択します。工事完了後、Wi-Fiルーターを設置してLANを構築します。

家族4人でスマホ・PC・タブレット・ゲーム機・スマートTVを使う場合、同時接続数と使用用途を考慮してWi-Fi 6対応ルーターを選ぶのがオススメです。リビング中央に設置すれば、家全体で快適なWi-Fi環境が実現できます。

構築時のチェックポイント

光回線選び

フレッツ光・auひかり・NURO光等の速度・料金比較、工事日程調整

Wi-Fiルーター設置

Wi-Fi 6対応機種選択、設置場所決定、初期設定とパスワード設定

デバイス接続

スマホ・PC・ゲーム機等の接続、通信速度テスト、使い勝手確認

トラブルシューティング

「Wi-Fiが繋がらない」「スマホの通信が遅い」といったトラブルは、WAN側の問題かLAN側の問題かを切り分けることが解決の第一歩です。まず他のデバイスでも同じ現象が起こるか確認しましょう。

スマホだけ繋がらない場合はスマホの問題家中のWi-Fiが繋がらない場合はルーターか光回線の問題です。ルーターの電源を一度切って再起動するだけで解決することも多く、これは「ルーターの再起動」と呼ばれるトラブルシューティングの基本です。

トラブルシューティングの手順

  • Step 1
    他のデバイス確認:家族のスマホやPCでも同じ問題か?
  • Step 2
    Wi-Fiルーター確認:電源ランプ点灯、コンセント確認
  • Step 3
    4G/5G回線確認:Wi-Fiを切って携帯回線で繋がるか?
  • Step 4
    プロバイダ確認:光回線会社の障害情報をWEBで確認

簡単トラブル解決法: Wi-Fiルーターの電源を10秒間切るスマホのWi-Fi設定をオフ→オンスマホ自体を再起動の3つで大半の問題は解決します。それでもダメなら光回線会社に電話で相談しましょう。